高血圧症/脂質異常症について
<高血圧症>
高血圧とは、血圧が高いという病態のことです。
測った時にたまたま高い時血圧が高いと言いますが、高血圧症とは言えません。
繰り返し何度も測っても血圧が正常よりも高い場合を高血圧症とし、診察室血圧で最高血圧140mmHg以上及び最低血圧90mmHg以上であれば、高血圧症と診断します。
血管の壁は、本来は弾力性があるのですが、高血圧状態が長く続くと、血管が常に張り詰めた状態になってしまい、次第に厚くかつ硬くなっていきます。
これが、高血圧症による動脈硬化で、この動脈硬化が脳出血や脳梗塞、大動脈瘤、心筋梗塞など生命に関わる合併症を発症させるリスクを非常に高めます。
日本人では、高血圧から脳梗塞や脳出血を発症する人が、欧米人に比べて格段に多いのが現状です。
従って、そういった深刻な合併症を予防するために、血圧を正常化させる必要があるのです。
診断確定後は、食事療法や運動療法といった生活習慣の改善と内服治療を中心に行い、注意深く経過を見ながら、血圧のコントロールを目指していきます。
高血圧症は自覚症状がほとんどありませんので、健診で早期に気付くことが何より重要です。
一年に一度、(特定)健診を受診し、ご自分の状態を把握するように心がけましょう。
<脂質異常症>
血液中には、コレステロールやトリグリセライド(中性脂肪)、リン脂質、遊離脂肪酸と呼ばれる物質が含まれています。
脂質は、細胞膜やホルモンの材料になったり、エネルギーの貯蔵庫になるなど、体の機能を保持するために大切な働きをしています。
通常、脂質は、肝臓で作られたり日々の食事から取り込まれるなどして、血液中に一定の量が保たれるように調節されています。
脂質異常症とは、食事から体に取り込まれる脂質の量が多くなりすぎるなどして、血液中のLDLコレステロール(悪玉コレステロール)やトリグリセライド(中性脂肪)が多くなりすぎている状態、もしくはHDLコレステロール(善玉コレステロール)が少ない状態が続く病気です。
脂質異常症を治療せずにほうっておくと、血管の動脈硬化が少しずつ進行し、やがて心筋梗塞や脳卒中など好ましからざる深刻な病気を引き起こしかねません。
脂質異常症は、動脈硬化の発症に関わる最も関係の深い病気です。
従って、脂質異常症の治療=動脈硬化の予防と言えるでしょう。
症状がだいぶ進行してからでないと、自覚症状を感じにくいので、高血圧症と同じく、健診で早くに気付くことが何より大切です。
血液検査の結果、LDLコレステロール、HDLコレステロール、トリグリセライド(中性脂肪)の値を見て、診断します。
治療は、生活習慣の改善(食事療法、運動療法)と内服治療が中心です。
経過を注意深く観察しながら、正常値に近づくようにコントロールしていきます。