高尿酸血症・痛風について
痛風とは、尿酸という物質が関節内で固まって結晶になるために生じる関節炎を主な症状とする疾患を言います。
関節炎は突然に起こるので、痛風発作と呼ばれることもあります。
痛風というと、プリン体という言葉を連想する方が多いのではないのでしょうか。
そもそもプリン体とは何でしょう?
プリン体は、私達が生きていく上で欠かせないものであり、遺伝子にも含まれていますし、エネルギーの源でもあります。
このプリン体が代謝されると、最終的に尿酸という物質になります。ゆえに、血液中には一定量の尿酸が含まれているのです。
様々な理由で血液中の尿酸の濃度が高くなり、7.0mg/dlを超えると高尿酸血症という状態になります。
高尿酸血症は、尿酸の産生過剰または排泄低下、あるいはそれらの混合のいずれかにより生じます。
体質遺伝やアルコール多飲、肉類の過剰摂取などの好ましくない食習慣や多忙すぎるストレスフルな生活が関与しているとされています。
中年期以降の活動的な男性に多く見られますが、生活習慣の変化により、最近は若年層の方も増加しています。
この高尿酸血症が長く続くと、関節の中で尿酸が固まってしまい、固まった尿酸=結晶が関節の組織に沈着し、その結晶が関節内に遊離するとそれに反応して炎症=痛風発作が起こるという仕組みになっています。
多くの場合、痛風発作が起こる少し前にはむずむずするような違和感を感じます。
足の親指の付け根が最も多いですが、足首や膝にも起こります。
痛みが激しいのが典型的な発作の特徴で、歩けないくらいのケースも少なくありませんが、10日前後で軽快します。
しかし、その状態を放置すると、次第に慢性化し、度々発作が起こるようになります。
こうなってしまうと、皮下に尿酸の塊からできた痛風結節が生じることがありますし、腎機能障害も起こりやすくなります。
尿路結石も約20%程度合併すると言われています。
また、肥満・高脂血症・脂質異常症などの生活習慣病を同時に発症していることも多く、動脈硬化の原因になりうるので、大いに注意する必要があります。
当院の診療方針
上述のような特徴的な症状と、血液検査の結果をもとに、高尿酸血症及び痛風と診断します。
どの段階で受診されるかにもよりますが、痛風発作が起こっている時に受診された場合は、まず血液検査を行うとともに、消炎鎮痛剤で発作を抑える治療を行います。
発作が治まったら、尿酸をコントロールする高尿酸血症のための内服治療を行っていき、定期的に血液検査などをしながら、注意深く症状の経過を診ていきます。
もちろん、生活習慣の改善にも取り組んでいただく必要があります。
魚の干物やレバー、乾物、ビールなどプリン体(=高尿酸血症を促進します)を多く含む食品の摂取を控えると同時に、ワイン、焼酎、日本酒などのアルコール類(=尿酸を増加し、排泄も妨げます)の摂取も控えましょう。
また、内臓脂肪の蓄積も尿酸値を上げる大きな原因ですので、食事や運動による肥満解消を心掛けることも大切です。
前述したように、痛風は動脈硬化性疾患に大きく関与すると言われていますので、血清尿酸値のコントロールだけでなく、そういった合併症にも注意を払うべきであり、生活習慣の改善は不可欠です。
具体的な治療目標としては、尿酸値7.0mg/dl未満を目指します。
